2013年03月15日

真夜中のキッチン!

 夕べの遅く、私は長久手から帰ってきた。時計は午前2時を指していた。

 車のエンジンを切り家に入る。いつもなら真っ暗なはずだ。ひら2は、いつも先に寝てしまう。

 それがなぜか窓のすきまから明かりがもれている。

「あれ? ひら2が起きてるのかな」

 独り言を言って部屋に入った。キッチンで何か音がする。

「ただいま。ひら2。起きてる?」

 キッチンに向けて声をかけると、寝室からひら2のいびきが聞こえてきた。私の頭に?マークがいくつの浮かぶ。ひら2でないとすると、残るは大悪魔(小5 ♂)だが、いくらなんでも、この時間に起きているとは考えにくい。

「もしかして、泥棒?」

 私の背中に冷たい汗が伝っていく。キョンシーだろうが、お岩さんだろうが、エクソシストだろうが、魔物の類ならたいていやっつける自信がある。が、しかし、生身の泥棒はこわい。腕力と体力は自信がない。
 おそるおそる、気配を殺して近づいていった。扉に耳を近づける。うぃ~んと機械のいやな音がして、ひひひと不気味な笑い声もする。まちがいなく、生身の人間だ。

 足がすくんだ。逃げ出したい。だけど、寝室にはひら2と大悪魔が寝ているはずだ。やつらを見殺しにはできない。
 一応戦ってみるか。意を決して扉に手をかける。そ~っと開けながら腹から声を出した。

「そこにいるのは誰だ」

 びくっと肩を震わせてふりむいたのは、大悪魔(小5 ♂)だった。

「ああ。びっくりした。お父さんか」

 大悪魔は笑っている、手には料理用のボウルとハンドミキサーが握られている。さっきの音はこのミキサーらしい。

「なんだよ。こんな遅くに」

 私が聞くと、大悪魔は答えた。

「あのさあ、明日(正確には今日)学校の家庭科でクレープ作るんだけど、ぼく班長でさあ、夜中に起きたらなんだか心配になってね。ひら2が寝るのを待ってやってみたんだけど、きれいに出来そうだよ」

 大悪魔は自慢げにクレープ生地を見せてくれた。私はほっとしたらほにゃホニャとなった。

「もしかして、家庭科の予習ってこと?」

 私が言うと、大悪魔はうれしそうにうなずいた。あのなあ、大悪魔よ。予習復習は立派だが他の科目にしてくれるか。あと、夜は寝ろ!!




Posted by ひらひらヒーラーズ at 15:48│Comments(2)
この記事へのコメント
クレープは大成功です(^○^)
Posted by 大悪魔 at 2013年03月22日 20:18
 大悪魔さま

 あなたは今、いろんなところで話題になっています……!

 が、しかし、調子に乗らんように!!(笑)
Posted by 大悪魔の父 at 2013年03月24日 20:36
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。