2012年10月22日

哀れ蚊

 昨日の夜、耳元で蚊の羽音がした。眠れなくなって、この涼しい中で蚊取り線香をたいた。

 こういうところで、よく電話が来る。歴史好きの友だちからだった。

「だめだよ。蚊取り線香なんかたいちゃ。秋に飛んでいる蚊は『哀れ蚊』といって、俳句の季語にもなっているくらいだ」
 どうも彼の話では、秋の蚊はまもなく死んでいくので哀れんでやれということらしい。

「『哀れ蚊かあ』でも血を吸われりゃ痒いよな」

 私が電話を切って一人ごとを言うと、例によって妻はオラクルカードをめくっている。「日本の神託カード」というのを入手したらしい。

「あのさあ、波動が上がれば血を吸われずにすむよ。きっと」
 妻は私の返事も聞かずに、線香を片付けてしまった。

 心配顔の私に小5の息子はマンガ理科辞典を持ってきた。
「あのねえ、お父さん。蚊は卵を産むためにメスが血を吸うんだって、だから大丈夫だよ。この凉しい中で水たまりでもボウフラ見ないじゃん」

 息子の無責任な言葉を聞きながら思った。血を吸いにくるのはメスなのか、だったらちょっと色っぽいのになら吸わせてやろうかな。



  
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Posted by ひらひらヒーラーズ at 17:52Comments(0)